こんな事、聞いたことありませんか?
- 水にハイターを入れると花が長持ちする
- 水に10円玉を入れると長持ちする
- 水に砂糖水を入れると長持ちする
- 花を持って帰るときは逆さま(花を下)にしたほうがいい
今回は真相究明してみたいと思います。
花がダメになる原因
花がダメになる原因は大きく分けると3つに分ける事ができます。
それが【菌・バクテリア】【栄養不足】【エチレン】です。
これら3つの原因の対策をすることが、お花を長持ちさせることに繋がります。それではそれぞれを詳しくみていきましょう。
エチレン
エチレンとは
『エチレン』は植物ホルモンの一種で、一般的に成長の阻害や、花芽形成の抑制をするとされていますが、品目によっては逆に成長を促進するようになります。
例えば、輸入のバナナは完熟する前の緑の状態で出荷します。国内に入り、小売される約1週間くらい前から、室(むろ)に入れエチレンを充満させ追熟させます。追熟後、室から出てきたものが皆さんがよく見る黄色のバナナです。
このエチレンの影響で成長が促進してしまう切花も多くあるので、エチレン対策をすることがお花を長持ちさせることに繋がります。
特に『カーネーション』がエチレンの感受性が高い花であり、流通の出発時点で薬剤処理を行うことで品質保持期間を高めることに繋がりました。
内生エチレン
そもそもお花とは『植物が受粉し子孫を残すために、虫などを誘引するためのもの』です。つまり、植物は種を存続させるために、エチレンを発生させ、成長を促進させ、開花させることが自然な流れになります。これを『内生エチレン』と呼びます。切花にした後も植物自体からエチレンを発生させています。花束を逆さまにして持ち帰る印象がありますが、このエチレンから花を守るためと考えられています。
しかし、お花屋さんが切り花の足元にお水(保水ゼリー)で処理をしていることが多いので、逆さにしてしまうと、中の水がこぼれたりして花自体も、ラッピングもダメになってしまいます。
お花を上に向けて持ち帰るようにしましょう。
外生エチレンとは
エチレン対策で気を付けるべきは『外生エチレン』です。
化石燃料を燃やした際(排気ガスなど)やたばこの煙、果物からでるエチレンなどに、ふれると『内生エチレン』の発生が促され、花の老化が進んでしまい、結果的に長持ちしなくなってしまいます。
なるべく、これらが当たらないような場所で楽しむことで長持ちさせることができます。
栄養不足
植物が栄養不足になる原因
お花も生き物です。生き物である以上、エネルギーが必要で、おなかが空けば元気がなくなってしまうのは植物も、動物と一緒です。動物と違うのは、自分で栄養を補給するために動けないことです。
根のある植物は根から水と一緒に吸収します。また、光合成によって糖を作りだし、根から吸収した水で花まで栄養を運びます。
しかし、切花にしてしまうと水圧が弱まってしまうので水が花までいきわたりづらくなってしまい、同時にせっかく葉で作った栄養も十分に行きわたらなくなってしまいます。
そこで、水に栄養を溶かすことで、花まで栄養を届けやすくしてあげます。
水に砂糖を溶かしてあげることで長持ちするという話は、この原理でいうと一見当たっているように見えます。しかし残念ながら、植物が水や栄養を吸い上げるための維管束(導管、師管)にとっては砂糖の粒子は大きすぎるために、せっかくの糖が吸い上げられません。そればかりか、糖を加えた水は菌の繁殖を促してしまう為、むしろ花の劣化を招いてしまいます。
特にバラは咲くときに糖の消費が多く、切花栄養剤を使用することで、長く楽しみやすくなる花の一つです。
おすすめの栄養補給方法
市販の切花栄養剤を使用するのがおすすめです。また、粉タイプと液体タイプがありますが、液体タイプの方が水に溶けやすいのでおすすめです。
菌・バクテリア
菌・バクテリアによる影響
根があれば、根がフィルターとなって菌が植物の邪魔になることはあまりありません。しかし、根から切り離されている切花は、維管束から菌やバクテリアが入り込み、細胞壁を壊してしまいます。この時に維管束を詰まらせてしまい、花に水や栄養が届かなくなってしまうので、花が萎れてしまうのです。
10円玉やハイターを水に入れることは、それぞれの殺菌効果を期待したもので、それぞれ一定の効果はあるとされています。しかし、ハイターは殺菌効果が高いものの、高すぎるが故に植物へもダメージを与えてしまうので諸刃の剣となってしまいます。また、10円玉は銅の殺菌効果を期待していますが、10円玉を入れるのであれば、こまめな水替えの方が効果的です。
菌・バクテリアの対策
水替え
菌やバクテリアが植物に影響を与えるまで繁殖する時間は約12時間と言われています。つまり丸1日おいた水はすでに菌の温床となっているので、少なくとも1日に1回は水を交換するようにしましょう。
この際に花瓶を洗剤等で洗い、菌やバクテリアをきれいに洗い流しましょう。
プラスチックの花器を使っている時は、たわしやブラシなどの硬い毛を使って花器を洗うと、傷がついてしまい、傷に菌などが残ってしまいやすくなってしまいます。
水替えを怠っていると、腐敗臭がしてくることもありますので、注意しましょう。特に夏場は水が腐りやすいので、こまめな水替えをおすすめします。
切り戻し
どれだけ水を小まめに交換しても、水につけていると腐食し、維管束はつまってしまいます。この際に切花の足元1㎝~2㎝を清潔なハサミで斜めに切ってあげて、詰まっていない部分を水につけてあげます。
切れないハサミを使用してしまうと、切り戻しをしても、維管束が潰れてしまい、水がすえない状態になってしまうので、しっかり研いだものを使用します。また、使用するハサミに菌がついていると、切り口から菌が繁殖するので、事前に消毒しておきましょう。
切花栄養剤
実はほとんどの切花栄養剤に『抗菌剤』が含まれています。なかなか毎日水を変えることが難しい場合などは、切花栄養剤を使うことで菌やバクテリアの繁殖を抑えることができます。
切花を長持ちさせる方法
冒頭の長持ちさせる方法は、原因がわかると効果があるように思えますが、正解から遠からず近からずといったところです。
基本的には
- 水替え
- 清潔
- 栄養補給
を守ることが、お花を長持ちさせることに繋がりますので、試してみてください。
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